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子供が障害者の場合の不動産相続

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1.子供が障害者だと相続の手続きが違う?


子供が障害児の場合は
通常の相続と比べると、遺産分割と相続税申告の面で異なります

少子化と高齢化社会が進む昨今では、不動産を相続させる子供が障害者というケースがありますよね。

子供が障害者だからといって不動産を相続出来ないということはありません。

しかし、不動産の相続においてはいろいろな法的な手続きが必要となりますし、相続した後にも様々な手続きが必要となるため、相続する子供とは別に、そうした法律行為を代理で行う人を見つける必要がありますね。

子供が障害児の場合には、通常の相続と比べると、遺産分割と相続税申告の面で異なります

MEMO
【遺産分割について】
障害児である子供の意思能力に問題があるかどうかによって、成年後見人が必要になるかどうかが違ってくる

精神疾患や知的障害などをもっていても、意思能力に問題がない場合には、あえて成年後見人を立てる必要はなく、不動産の相続を含めた相続を行うことができます。

相続に関して意思能力があるかどうかを判断するのは、かかりつけの医師と言うことになりますね。

もしも
意思能力に問題があると診断された場合には、遺産分割の際には成年後見人を立てる必要があります

これは家庭裁判所に申し立てを行った上で後見人が選任されるという手続きを行いますが、必ずしも後見人が家族の誰かになるというわけではないので注意しましょう。

後見人が見知らぬ弁護士に選任されるということもあるわけですね。

また、成年後見人制度を利用すると、後見人が選任された時に報酬が発生するだけでなく、相続する不動産の評価額やそのほか預貯金の金額などに応じて、毎月2万円~6万円程度の報酬を後見人に対して支払うことになります。

無料で利用できるサービスではないので、注意しましょう。

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2.相続税の申告では障害者控除がある

MEMO
障害者が不動産を相続する際障害者控除を受けることが出来る

相続をする障害者が日本国内に住んでいるという条件のほか、85歳未満であることや法定相続人であることなど、いくつかの条件がありますが、一般的にはこうした条件を満たすことはそれほど難しくはありませんよね。

障害者控除の金額は、相続人が一般障害者なのか特別障害者なのかによって変わりますし、相続人の年齢によっても変わります。

【一般障害者の場合】
85歳から相続人の年齢を引いた数字に10万円をかけたものが控除額

例えば、50歳の一般障害者なら、10万円×(85-50)=350万円の控除額となるわけですね。

【特別障害者の場合】
85から相続人の年齢を引いた数字に20万円をかけて算出することになる

障害者が一般障害者なのか特別障害者なのかについては、持っている障害者手帳の等級によって分類します。

等級が1級から2級の場合には特別障害者という扱いとなり、3級から6級なら一般障害者となりますね。

3.不動産を相続すると障害年金はどうなるのか?


MEMO
不動産を相続して財産があるからと言って障害年金の支給が停止されるということはありません

これまでは親と生活しながら障害年金を受け取っていた人が、親が亡くなったことで不動産を相続したとしても、これまで受け取っていた障害年金は遺産相続とは関係ないので、これからも引き続き継続して受け取ることができます。

従って、不動産を相続して財産があるからと言って障害年金の支給が停止されるということはありませんし、減額の処置になるということもありません。

安心してくださいね。

ただし
障害年金の支給と所得には、全く関係がないというわけではありません。

特に、初診日が20歳前で一定以上の所得がある人だと、障害年金の支給を停止されることはあります。

しかし、これは所得に限ったもので、遺産を相続するという場合には、制限の対象となる所得にはカウントされないので問題はありません。

ただし、初診日が20歳前である障害者が不動産を相続し、それを売却した場合には、問題が発生する可能性があります。

不動産の売却によって出た利益は、障害年金の減額や支給停止の対象となる所得となるのです。

年間の総収入が360万4千円を超えると年金支給は半額となり、年間総収入が462万円1千円を超えると支給停止の措置が取られることになりますから、気を付けてください。

4.成年後見人に与えられる役割とは?



障害者が不動産を始め相続をする際には、本人の判断能力に問題ありと判断された場合には、成年後見人を選任した上で遺産分割を行うことになります。

成年後見人の手続きは、家庭裁判所に申し立てをし、家庭裁判所が誰が後見人として適しているのかを判断して選任するという流れです。

この手続きには1ヶ月~2ヶ月ぐらいの期間がかかるため、もしも親が高齢などで近い将来に相続が考えられるのなら、早い段階から成年後見人の手続きを始めておくのが良いかもしれませんね。

ギリギリになってから手続きを始めると、一つ一つの手続きに時間がかかるため、相続税の支払い期限までに間に合わない可能性が出てきてしまいます。

そうならないように、できるだけ時間には余裕をもって、できる手続きは早めに行うのがおすすめです。

この成年後見人は、障害者が不動産相続を行う際にはとても重要な役割を持っています。

それは、障害者の代理として、法定相続分をきちんと確保する必要があるという点にあります。

預貯金などはっきり明確に分割出来る財産の場合には、遺産相続はそれほど難しくはありません。

しかし、不動産となるとはっきり分割できませんし、すぐに売却して換金するわけにもいかないことが多いものです。

そのため、成年後見人が障害者の代理として相続するべき分を確保する必要があるわけですね。

ただし、成年後見人に選定された人でも、一存で勝手に決めることはできません。

不動産相続に関しては、状況に応じて家庭裁判所に説明を行いながら、相続人の利益を守るためのフレキシブルな対応が必要となります。

一般的な不動産の相続と比べると、家庭裁判所とのやり取りが必要になる分だけ時間や手間がかかることになるという点は、周りの家族も理解しておいた方が良いですね。

5.成年後見人の手続き方法


MEMO
もしも医師が相続人である障害者の判断能力に問題があると診断したら、家庭裁判所に成年後見人の申し立てが必要

申し立ては自分たちで行うことも可能ですが、法的な手続きとなるので、司法書士や弁護士などに依頼しても良いですね。

法律のプロに依頼すれば、どんな書類が必要なのかを指示してくれるので、それらを集めて司法書士もしくは弁護士に渡せば、家庭裁判所での手続きは代行してもらうことができます。

成年後見人の手続き方法で最初に行うことは、申し立てを行うという作業です。

遺産分割協議のための申し立てでは、相続人全員の署名と実印の捺印が必要となるので注意してくださいね。

一人だけ遠方に住んでいてなかなか連絡が取れないという場合だと、それが理由で成年後見人の申し立てが出来なくなってしまいます。

相続人の中に障害者がいる場合には、通常の申し立てで必要となる書類の他に、障害者手帳など、要介護度が分かる書面を提出することになります。

具体的には、精神障碍者手帳、身体障碍者手帳、養育手帳など、公的機関から発行された書面などがありますね。

それに加えて、相続人の障害者が現在他に成年後見人の登録がされていないという旨を示す証明書、そして本人の判断能力に問題があることを診断する医師の診断書なども合わせて提出しなければいけません。

司法書士や弁護士に申し立ての依頼をすることで、有利に手続きを進めるためにどんな書類が必要なのかという点についても、ケースバイケースで相談に乗ってもらえます。

6. 障害者が受けられるその他の税金控除



障害者が不動産を相続すると、相続税の面で障害者控除を受けることができます。

その他にも、所得税でも障害者控除がありますよね。

障害者だからといって税金が完全に免除になるというわけではありませんが、不動産を相続したことによって所得が増えた場合、27万円あるいは40万円が所得金額から差し引かれるという障害者控除を受けられます。

一般障害者の場合には控除額は27万円特別障害者だと40万円と設定されています。

その他にも、障害者が信託契約によって財産を受け取る際には、3000万円~6000万円の範囲で贈与税が非課税となります。

この非課税を適用してもらうためには、信託契約を結んでいる信託会社を通して、管轄の税務署長に「障害者非課税信託申告書」を提出する必要があります。

自動的に非課税となるわけではないので注意してくださいね。

7.成年後見人は障害者が相続した不動産を売却できるのか?


MEMO
家庭裁判所によって選定された成年後見人は、障害者が相続した資産を障害者本人の利益のためだけに使う義務があります


定期的に家庭裁判所からチェックが入り、日常生活レベルの支出に関しても細かく説明を求められることになります。

これは、成年後見人による不正な使い込みや横領を抑止するための機能となっていて、成年後見人が自由に障害者が相続した財産を活用したり運用することはできません。

もしも障害者が施設に入居することになって、相続した不動産を売却して施設への入居費用に充てたいという時には、どうしたら良いのでしょうか?

この場合、成年後見人は家庭裁判所に事情を説明して、不動産の売却を許可してもらうことで、売却することができます


しかし、売却して得た利益をそのまま施設への入居費用として使えるわけではありません。

不動産を売却するという行為と、施設へ入居するために不動産売却によって出た利益を使うという行為は別々の法律行為となるので、入居する際にいくらの費用をどこから工面するのかという点に関しては、別途で成年後見人が家庭裁判所から許可を取ることになります。

成年後見人の役割は、そこで終わりではありません。

もしも施設に入居している相続人が病気などで入院しなければいけなくなった場合には、監護義務のある成年後見人が入院の契約を行うことになります。

そして、その際にかかる費用についても、家庭裁判所へ許可を取ったうえで、本人の利益のためだけに使うことが認められているわけですね。

高齢の親が認知症を患った時にも、この成年後見人制度を利用することはできます。

しかし、資金の運用や活用方法を逐一、家庭裁判所にお伺いを立てなければいけない成年後見人の制度は、手間がかかって面倒ですし、後見人に対して毎月の報酬が発生するので、費用面でも家族にとっては大きな負担となります。

認知症を発症する前の判断能力に問題がない段階で、家族信託という契約を結ぶ方法もありますけれど、成年後見人を必要とするような障害者が相続をする場合においては、残念ながら家族信託という選択肢はありません。

その理由は、障害者の判断能力に問題がなければ相続の際に成年後見人は必要ないわけで、判断能力に問題がある人は家族信託を利用することができないからですね。

そのため、もしも近い将来に障害者が相続人になることが分かっているのなら、早い段階で成年後見人が必要かどうか、必要な場合にはその手続きも含めて少しずつ始めておくことをおすすめします。

●監修 ハウス・アンド・ランド・サロン