横浜市中区・西区の不動産や相続のことは、ハウス・アンド・ランドにお任せ!税理士や司法書士、弁護士、銀行とチームで解決!

『家族信託は、親の認知症対策や相続対策に有効なのか?』を検証

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

1:家族信託とは?

家族信託を一言:「信頼できる自分の家族に資産を預け、代理で財産の管理を行ってもらうという仕組みのこと」

家族信託は、相続対策の一つとして注目されている対策方法の一つです。

親が子供に家族信託をするケースが一般的で、親の判断力は関係なく利用出来るのが大きな特徴です。

家族信託とよく似た制度には、成年後見人制度がありますが、成年後見人制度は親が認知症を患っているなどして、判断能力がないとみなされることが条件となります。

この制度でも一般的には家族が選任されることは多いのですが、家族間でもめていたりすると、弁護士が選任されることもあります。

そのため、成年後見人制度においては、必ずしも高齢者自身の意思が反映されるというわけではありません

しかし家族信託では、親の判断力があるうちに家族信託をしておけば、その後で親が認知症になってからでも、信託を受けている人が資産の運用管理を自由に行えるというメリットがあります。

例えば、親が認知症になったために不動産を売却し、その売却利益と口座の預金を使って、親を介護施設へ入居させるといったことが可能となります。

家族信託は、自分が高齢になってきたために財産管理に不安を感じている親にとっては、信頼できる子供に財産管理を任せられるという点で、とてもおすすめの方法です。

また、親が田舎に独り住まいをしていて、将来的には老人ホームへの入居を考えているという場合にも、法的な手続きを代理でスムーズに行えるという点で、大きなメリットが期待できるでしょう。

さらに、将来的には不動産を動かすなどの手続きを考えているけれど、親が高齢なので本人ができるかどうかわからないという場合や、遺言書を書きたがらない親がいる場合においても、この制度はおすすめです。

家族信託は、高齢の親に対してだけ有効な制度ではありません。
例えば子供がいるけれど障害があり、将来の財産管理に対して不安を抱いているという場合には、この制度は大きな安心材料となります。

2:家族信託のしくみ

家族信託は
親の認知症対策法の一つとして注目されているだけでなく、相続対策としても有効

家族間での取り決めと言っても法的な行為について大きな権限を与える契約ですから、まずはどんな目的で家族信託をするのかをしっかりと定めることから始めましょう。

家族信託は、様々なシチュエーションに対応することができます。

例えば、自分が高齢で、将来的に認知症や病気などで判断が出来なくなった場合でも、家族に財産を託したいという場合を始め、子供達に

不動産を平等に相続させたいけれど共有名義だとトラブルになりそうなので避けたいという場合にも有効です。

また、認知症を患っている妻に対して、後見人を付けなくても済むような財産の残し方をしたいというケースや、妻に残した財産を、将来的には息子の家族に相続し、その先は嫁側ではなくて自分の血族側が相続できるようにしたい、というケースにも対応が可能です。

家族信託では、目的に応じて様々な内容をカスタムメイドで決定していきます。

受託者は一人でなければいけないというルールはなく、第二受託者を設定しても良いですし、受益者も一人だけではなく第二受益者を決めることができます。

また、信託財産を特定することもできますし、信託期間を決めて期間限定にしてもOKです。

さらには、自分が亡くなった後の残余財産を誰に託すかという帰属先も、この家族信託の中で決めることができますし、信託終了後に信託財産を取得するのは誰にしたいのかという点についても、細かく決めることが可能です。

この家族信託は、法的に効力を持つ手続です。

そのため、専門家に相談しながら作成を依頼しましょう。

さらに、その後で、公正証書にすることによって、後からのトラブルを防ぐことが可能です。

また、公正証書にしておけば、万が一紛失しても再発行してもらうことができますし、金融機関における信託口座作成もスムーズにできます。

3:家族信託の6つのメリット

MEMO
家族信託には、たくさんのメリットがあります

1つ目
特定の受益者に対して、確実に利益を渡せる

家族信託を依頼する委託者だけでなく、受益者が認知症や障害などによって判断能力が低下した場合でも、家族信託をしておけば、定期的に利益を渡すことが可能となります。

2つ目
自分が高齢者の場合には、冷静な判断ができるうちに将来的な相続についてもしっかり決めておくことができる
遺言を作成した場合には、自分の財産を誰が相続するかという点しか指定することはできません。

しかし家族信託の場合には、何十年という長い年月にわたって、細かくいつからいつまでは誰が受益者となるか、といった点を指定することが可能です。

例えば、自分が亡くなった後には妻が相続し、妻が亡くなった後には長男が相続し、長男がなくなったらその子供に相続させる、といった指定が可能です。

3つ目
自分が指定した受益者以外に利益が渡らないような対策ができる

例えば先妻との間に子供がいて、後妻との間には子供がいない場合などには、自分の死後は後妻に相続をさせ、その後は先妻との子供ではなく別の人物に相続させる、といった設定が可能です。

4つ目
自分1人の意思で決めることが可能

成年後見人を決める手続きにおいては、選任される人だけではなく、他の親族に対しても異議がないかどうかの確認が必要ですし、確認が取れない場合には弁護士が後見人に選任されることが多いものです。

しかし家族信託の場合には、自分1人の意思だけで決定できますし、今すぐにはじめることができるので、委託者の年齢に関係なく財産管理をスタートできます。

5つ目
遺言書の代わりとして使える

遺言書と比べると、比較的自由度が高いですし、特定の方式を採用しなければいけないということもありません。

そのため、委託者の意思に基づいて設定しやすく、自分が亡くなった後には遺言書としての法的効力も持っています。

6つ目
自分が亡くなった後に起こるかもしれない相続争いやトラブルを最小限に抑えられる

自分が高齢で、将来的には配偶者の判断能力がなくなっているかもしれない場合には、残された配偶者の生活費がどこから捻出されるのかが心配なものです。

そのような時、家族信託を残しておけば、自分が亡くなったら受益者を妻に変更することができるので、賃貸契約を含めた法的な契約が可能となります。

4:家族信託の5つのデメリット

MEMO
家族信託を利用する際には、デメリットについても理解しておかなければいけません

1つ目
身上監護機能を持ち合わせていない
この信託契約はあくまでも財産の管理や運用を誰に任せるかというもので、もしも委託者が将来的に施設への入退所が必要になったり、入院の手続きをする場合などには、家族信託の受託者が行うことはできません。

2つ目
特定贈与信託の優遇は対象外となってしまう
一般的には、特別障碍者への贈与に対しては、6,000万円までは非課税の扱いとなりますが、この場合には信託会社や金融機関が受託者とならなければいけません。
しかし家族信託を行うと、この特定贈与信託による贈与税が非課税にはなりません。

3つ目
受託者の不正や使い込みを予防できない
成年後見人の制度では、後見人が使った財産を、細かく定期的にチェックするため、不正な使い込みや横領などを未然に防ぐことができますし、万が一横領が起こった場合には、刑事責任と民事責任を問うことができます。
しかし家族信託の場合には、そうしたチェック機能がないので、受託者の一存で自由に財産の使い道を決めることができてしまいます。

4つ目
あまり将来のことまで決めてしまうと、その時になってから計画通りではなく、逆にトラブルの原因となってしまう可能性がある
信託を決める際にはそう思って決めるわけですが、時間とともに生活環境が変わったり、親族関係が変化することは珍しくありません。そのため、あまり細かく決めすぎてしまうと、後から後悔する可能性があるので注意してください。

5つ目
節税効果はない
受益者に指定された人は、実際に財産を取得するというわけではありませんが、法的には財産を取得したとみなされてしまいます。そのため、税金の面で負担が大きくなるなど、経済的な負担がのしかかる可能性が考えられます。

5:家族信託の活用例

 

MEMO
家族信託は、様々なシチュエーションで活用できます

例えば
自分がすでに高齢で、将来の財産管理に不安を感じている場合には、信頼できる子供に家族信託を行い、財産管理を任せることができます。

特に、地方で一人暮らしをしている老人なら、万が一の時にはそばに住んでいる子供だけではなくて、遠方に住んでいる子供へ財産を残したいと考えることもあるでしょう。

例えば
現在、自分が自宅で長男と嫁と同居している場合、自分が亡くなった後には長男に不動産や財産を相続して欲しいけれど、長男が亡くなった後には嫁ではなくて自分の次男に相続して欲しいという場合には、家族信託を設定しておけばその通りに財産を託すことができます。

また
自分と妻の間に子供がおらず、自分が亡くなった後には妻が相続し、妻が亡くなったら自分の甥っ子に相続して欲しいという時にも、家族信託は有効です。

家族信託がなければ、自分が亡くなった後に妻が相続し、その妻が亡くなった後には妻の血縁者へ財産が相続されることになります。
しかし家族信託を決めておけば、自分の血縁者や自分が指定する人へ確実に財産をゆだねることができます。

自分も妻も高齢者で、妻が認知症を患っているという場合には、自分が冷静な判断ができるうちに家族信託を決めておけば、自分が妻よりも先に亡くなった場合、残された妻が成年後見人を付けなくても財産を受け取ることができます。

家族信託がない場合には、受益者となる妻が認知症だと財産を受け取ることが出来ず、成年後見人を付けなければいけません。
信頼できる親族がいればよいのですが、いない場合には弁護士が後見人に選定されることになります。

6:まとめ

家族信託が、親の認知症対策や相続対策に有効であることがわかりました。

家族信託は、自分が冷静な判断ができるうちに、誰が自分の資産や財産を管理運用するのかを決められる方法として注目されています。

遺言書や成年後見人の制度と比較すると、委託者の意思を反映しやすいという点が最大のメリットとなります。

ただし、税金面での優遇措置などは受けることができませんし、場合によっては受託者に対して税金面での負担が大きくなる可能性もあるので注意が必要です。

また、家族信託には資産運用の権限はありますが、施設に入居する際の手続きや入院が必要になった際の手続きなどに関しては、権限がありません。

そのため、場合によっては条件付きで成年後見人を別に指定する必要もあるでしょう。

認知症問題には『成年後見制度』?『家族信託』?どちらが有効なのかを検証

●監修 ハウス・アンド・ランド・サロン