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『認知症の親の不動産を売って施設の費用に充てたい』豊かさをもたらす認知症対策

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

1.親が認知症になると財産はどうなる?



注意
親が認知症になると不動産や財産の管理をすることができないし、法律によって認められていません

親が認知症になると、親が所有している不動産を処分して施設への入居費用に充てたいと考える家族は少なくありません。

認知症と言っても、軽症で事理弁識能力があると判断される場合には、親本人が不動産などの財産売買契約を行っても問題はありません。

しかし
認知症が進行して最低限の判断能力を持たないと判断されている場合には、残念ながら親名義の不動産や財産でも、親が1人で契約することはできません。

銀行の判断にとっては銀行が口座を凍結するケースもあります

詐欺や横領などの犯罪や、口座の不正な使用を回避するためです。

2.認知症とは?


少し認知症について解説しますね。
おさらいになる方が殆どでしょうが、改めてインプットしましょう!

認知症とは?
いろいろな原因で脳細胞が機能しなくなってしまう状態のこと

以前では「痴呆」と呼ばれていたもので、医学的にははっきりした原因は分かっていないものの、加齢が一つの原因となることは分かっています。
私たちは年齢を重ねると、どうしても加齢による物忘れをしやすくなってしまいます。

しかし、ただ物忘れがひどくなるというのは、認知症ではありません。
同じ「忘れてしまう」という症状でも、物忘れと認知症には明らかな違いがあり、物忘れは老化が原因なのに対して、認知症は精神疾患の一つと考えることができます。

例えば、昨日朝食を食べたことは覚えているけれど、何を食べたのかがなかなか思い出せないといった症状は、加齢による物忘れに分類できます。
認知症の場合には、何を食べたのか思い出せないだけではなく、朝食を食べたという行動そのものを覚えていないのです。

食事をしたのに「していない」と思ってしまうのは、認知症の症状の一つと言われています。

認知症は、初期の状態では本人に自覚症状はありません。

しかし、放置すると進行する傾向にあり、日常生活に支障をきたすことがあるので注意しなければいけません。
例えば、散歩に出かけようと家を出たけれど、途中で自分の家がどこか分からなくなってしまっただけではなく、住所や自分の名前すら思い出せないというのは、認知症が原因のトラブルです。

認知症にはいくつかの種類があります
アルツハイマー
アルツハイマーはよく知られている認知症の一つで、他には脳血管性型とかレピー小体型などが挙げられます。
アルツハイマー型は女性に多いのが特徴で、物忘れや徘徊、モノ取られ妄想などが挙げられます。
最初は記憶障害から始まり、少しずつ進行していくのが主な経過となっています。

脳血管特性の認知症
脳血管性型の認知症は、アルツハイマーとは異なり、男性に多く見られます。
まだ認知症と呼ばれる認知機能障害を始め、手足がしびれたり麻痺するなど、身体的な症状が起こりやすい型なのが特徴です。
その他には、感情のコントロールが上手くできずにいつも怒っている、といった症状が出ることもあります。

レピー小体型
レピー小体型は、認知機能障害や認知の変動などが見られるほか、睡眠時に異常な言動があったり、うつ状態に陥るなどの症状が現れます。
幻想や妄想が増えるのはこのタイプで、自律神経症状が著しくダメージを負い、調子が良い時と悪い時の差が激しくなりながら、症状がどんどん進行していくという認知症です。

それぞれ脳の状態や起こる症状などは異なりますが、脳細胞が死んでしまう、もしくは著しく機能低下してしまうという原因は共通していて、医者に行くと認知症と診断されます。

3.今後の認知症の推移

加齢が原因となることが多い認知症は、高齢化社会が進む昨今においては、
今後どんどん患者数が増加すると考えられています。

2019年の総務省統計局の発表によると、65歳以上の高齢者が人口に対して占める割合は全体の28%となっています。
高齢者の数が毎年少しずつ増えると同時に、寿命が延びていることを考えると、認知症は将来の日本においては多くの人と関係する疾患となると言えます。

4.親の認知症には成年後見制度で法律行為を代行

成年後見人の制度を利用すれば、専任された成年後見人が代理となって法律行為を代行できます。

また、認知症の親がうっかり行った契約などを無効にすることも可能です。

成年後見人には、大きく分けて3つの種類があります。



1つ目 補助人
「普通の人よりも判断能力が多少劣る。日常の買い物などは支障ない程度に専任されるもの」


法律上の権利などはなく、本人に代わって法的な契約や不動産の処分などをする事はできません。
もしも補助人が親の不動産を処分したい時には、家庭裁判所に申請をして、売却権を認めてもらうという手続きが必要となります。

2つ目 保佐人
「普通の人よりも判断能力が劣る。日常の買い物などは支障ない程度に専任されるもの」

これは、認知症の度合いがさらに進行している場合につけられるもので、不動産売却をはじめとして、法律行為についての取消権とか同意権、そして追認権などが与えられます。

3つ目 後見人
「本人に判断能力がない。重度の認知症の場合に専任されるもの」

親の認知症の度合いがさらに進行した場合には、成年後見人により大きな権利が与えられます。

日常の買い物以外の全ての法律行為において、代理権や取消権が与えられることになります。
そのため、認知症の親が所有する不動産を売却して、施設の入居費用に充てたいという場合には、不動産の処分に関する売買契約を代理で行うことができる他、施設入居のための費用を銀行口座から引落としたり、施設入居のための契約についても、代理で行うことが可能です。

成年後見人は、誰でも自由に立候補してなれるものではありません。

基本的には成人している子供が成年後見人になるケースが多いのですが、特に決まった親族関係や資格はなく、子供や孫などが成年後見人になることもOKです。

ただし、成年後見人は成人していることが条件なので、未成年の子供が就任することはできません。
さらに、トラブルを防ぐために、破産した経験のある人は、残念ながら成年後見人の資格はありません。

成年後見人の手続きをするためには、最初に成年後見人を選任してもらうために必要な書類を集め、家庭裁判所へ申し立てをする事になります。
その後、家庭裁判所で申立人や候補者などとの面談が行われ、どういういきさつで申し立てをしたのか、他の親族とはどんな話になっているかといった細かい部分を質問されます。

さらに、家庭裁判所では他の親族に対しても面談や意見照会が行われ、異議を唱えている人がないかどうか、後からトラブルになる可能性があるかどうか、といった点が検証されます。

最終的に、誰が成年後見人に選任されるのかを決めるのは家庭裁判所です。

親族間で何も問題がなく、家庭裁判所がそれを認めた場合には、候補者がそのままスムーズに成年後見人になることができます。

ただし、認知症の親に多額の財産があったり、親族間でもめていたりする場合には、そのまま候補者がスムーズに成年後見人に選任されるケースは少なく、弁護士が選任されることが多いです。

5.成年後見人のメリット3選とは?


親が認知症になってしまった場合には、本人が法的な手続きを行ったり、不動産などの資産を処分することはできません。

そのため、できれば信頼できる親族が成年後見人となって、代理で法的行為を行うのが理想的です。

この成年後見人という制度には、いくつかのメリットとデメリットがあるため、どちらも理解した上で、慎重にこの制度を利用することが必要です。

成年後見人のメリット①
「認知症の親の財産を代理で管理できる」

親が認知症だと判断されると、本人が銀行に行っても預金を引き落とせなくなってしまったりして、日常生活のいろいろな所に支障が出てしまいます。
そんな時、成年後見人をつけることによって本人の財産を守ることができますし、本人のために正しく使うことが可能となります。

成年後見人のメリット②
「本人にとって不利益な契約を代理で解除できる」

認知症の親は、いつどこでどんな契約を交わしたのか、覚えていないことが多いです。

そのため、詐欺などの犯罪に巻き込まれたり、不利益な契約をさせられてしまうというリスクが高くなります。
そんな時、成年後見人がいれば、認知症の親が行った契約を、代理で解除することが可能となるのです。

成年後見人のメリット③
「裁判所が定期的にお金の使い道をチェックする」

莫大な資産を成年後見人一人にゆだねてしまうと、場合によっては不正な使い込み等などが行われてしまう可能性がゼロとは言えません。

そうしたトラブルや犯罪を防ぐために、成年後見人の制度では、家庭裁判所が定期的に何にいくらを使ったのかという点をチェックするシステムとなっています。こうすることによって、認知症になってしまった親の財産をしっかりと守るサポートをします。

6.成年後見人のデメリット4選とは?

注意
成年後見人には、デメリットもあります

この制度を利用する人は、親が認知症になってしまったことで必要性があって利用するわけですが、利用する際にはデメリットについても、きちんと理解しておきたいものです。

成年後見人のデメリット①
「費用が掛かる」

最初に成年後見人を選任する手続きの申し立てをするだけでも、費用は10万円~30万円がかかります。
さらに、制度を利用している期間は、認知症の親が所有している財産の種類や金額によって異なりますが、毎月2万円~6万円程度の費用が掛かります。
この費用は親が亡くなるまでかかるため、施設に入ったからもう必要ない、と言うことはありません。

成年後見人のデメリット②
「一度選任されると、後から辞めることができない」

選任された成年後見人が、被後見人が亡くなるまで、ずっと代理を務めなければいけません。
どうしても辞めたいという場合や、別の人に譲りたいという場合には、家庭裁判所に申し立てを行った上で決定してもらいます。

成年後見人のデメリット③
「お金の使い道が制限される」

これは、被後見人を守るための措置でもあるのですが、不正な使い込みを防ぐために決められているルールです。
日常生活で使った数百円の買い物に対しても、定期的にチェックが入るため、説明が必要となります。

例えば、認知症の親の通院に付き添うと、その度に交通費や売店利用代などで5,000円かかるとしましょう。
その度に銀行口座から引き落とすのは面倒なので半年分となる6万円をまとめて引き落としたという場合には、家庭裁判所にその6万円の使い道を細かく質問されることになります。
きちんとレシートを保管しておかなければいけません。

成年後見人のデメリット④
「成年後見人の業務で不正な使いこみとみなされた場合には、刑事上責任と民事上責任のリスクを負う」

自分の親でも、成年後見人になった以上は、親の財産は親だけのために使わなければいけません。
自由に工面できるお金だからと言って不正な使い込みをすると、横領罪とみなされて刑事事件および民事事件として裁かれることになります。

7.まとめ

親が認知症になった場合、軽度の場合には不動産の取引などは本人が行うことが可能です。

しかし症状が進行して判断能力がないとみなされた場合、本人が法的行為を行うことは認められていないため、成年後見人の制度を利用して、子供や孫など信頼できる親族、もしくは弁護士が代理で財産管理をおこない、法律行為を代理で行うことができます。

ついつい先延ばしにしてしまう親の認知症問題。

冒頭でも解説した通り、認知症の症状は、急速に悪化する懸念もあります。

だからこそ、早め早めで行動を起こしていきましょうね。

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