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『詐欺の被害額は8年連続で300億円越え』高齢者への【意思能力】と【判断能力】を解説

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1.日本は超がつくほどの高齢者社会


日本の現状は高齢者社会です。

年々高齢者の人数は増えています。

高齢者の中でも介護保険制度を利用している高齢者の大半が認知症が原因で利用しています。

今回は認知症患者を犯罪から守ることも視野に入れて、認知症における「判断能力」や「意思能力」をクローズアップしていきましょう。

2.認知症における【意思能力】とは?

意思能力とは
予測をして意思表示ができる能力のこと

「こうしたい」という自分の意思だけでなく、自己の行為の方的な結果や意味を認識して発言できる能力を意思能力と言います。

もし
売買契約をした際に、高齢者である売主が認知症などの理由で意思能力がないと判断される状態であれば、売買契約は無効になります。

例えば
意思能力のない人が、詐欺などから「この土地は高く売れるよ」と嘘の情報を言われて、その情報を信じて自分で契約して売ってしまったとします。

一見、自分で意思を決めたように見えますが、実はその土地が高く売れるかどうかを調べることや誰かに聞くこともできず、その情報が正しいと思い込んで契約を結んでしまう場合です。

意思能力は、意思決定の拘束を基礎づける一因です。

もし契約した場合にも無効になりますが、意思能力のないと判断された時には後見など制度を利用して、適切な判断ができる人を裁判所で決定してもらう必要があります。

3.認知症における【判断能力】とは?


判断能力とは
物事について個人的な判断をなす事の出来る能力のこと

認知症の中でも特に症状として有名なのは、「判断能力の欠如」になります。

社会生活の中で、適切な判断ができなくなっていくのが認知症の特徴でもあります。

判断能力は「事理弁識能力」とも言います。

全く悪気がないのに、社会のルールを無視しているかのような行動を起こしてしまうことです。

店に売っているものを、お金を払わずに持ってきてしまうことや、人の家に入ってしまうことなどです。

徘徊などはそういった症状の延長上にありますね。明らかにおかしな判断になっていることが多いのです。

脳の老化が起こしている現象で本人は悪くないのですが、こういった症状のせいで、本人はもちろん家族など周りの人たちがつらい思いをしてしまいます。

もちろん、最初からすぐにこういった症状が出ているわけではありません。

最初は「物忘れ」から始まりますが、だんだん会話が成立しないことがわかってきます。

そうなってくると、認知症を疑うことになるので、判断能力にも支障が出てきていることがわかってきます。

もちろん判断能力がないことがわかれば、法的には無効です。

しかし意思能力と違い、認知症ならではの症状なので、判断能力がない場合には、法的なことを本人に任せることは家族もあまりしないことが多いです。

4.高齢者を狙う特殊詐欺の被害総額は8年連続で300億円を越えた

高齢者を狙った犯罪は手口が巧妙化しています。

特殊詐欺による犯罪被害総額は8年連続で300億円越え。

1日当たり8,200万円以上ものお金が詐欺によって動いている計算となります。

なお、2022年は、団塊世代が75歳に突入することで独居老人の「ひとり暮らし社会」が本格化すると言われています。

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高齢者は認知機能の低下によって被害に遭い易いと言われています。

特に高齢者(65歳以上)の女性に被害者が多く、全体の65.0%に達しています。

親族を装った詐欺犯罪であるオレオレ詐欺では全体の84.3%を占めており、被害が多発している年代が80歳前後といったデータがあります。

特殊詐欺以外にも訪問販売による不必要な商品やリフォームの勧誘による被害などは、高齢者が全体の大きな割合を占めます。

2020年1月1日に警視庁が特殊詐欺を10種類に分類したので以下に転記します。

オレオレ詐欺
親族等を名乗り、「鞄を置き忘れた。小切手が入っていた。お金が必要だ」などと言って、現金をだまし取る(脅し取る)手口です。


預貯金詐欺
警察官、銀行協会職員等を名乗り、「あなたの口座が犯罪に利用されています。キャッシュカードの交換手続きが必要です」と言ったり、役所の職員等を名乗り、「医療費などの過払い金があります。こちらで手続きをするのでカードを取りに行きます」などと言って、暗証番号を聞き出しキャッシュカード等をだまし取る(脅し取る)手口です。


架空料金請求詐欺
有料サイトや消費料金等について、「未払いの料金があります。今日中に払わなければ裁判になります」などとメールやハガキ(封書)で知らせ、金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。


還付金詐欺
医療費、税金、保険料等について、「還付金があるので手続きしてください」などと言って、被害者にATMを操作させ、被害者の口座から犯人の口座に送金させる手口です。


融資保証金詐欺
実際には融資しないのに、簡単に融資が受けられると信じ込ませ、融資を申し込んできた人に対し、「保証金が必要です」などと言って金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。


金融商品詐欺
価値が全くない未公開株や高価な物品等について嘘の情報を教えて、購入すればもうかると信じ込ませ、その購入代金として金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。


ギャンブル詐欺
「パチンコ打ち子募集」等と雑誌に掲載したり、メールを送りつけ、会員登録等を申し込んできた人に、登録料や情報料として支払わせて金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。


交際あっせん詐欺
「女性紹介」等と雑誌に掲載したり、メールを送りつけ、女性の紹介を申し込んできた人に、会員登録料金や保証金として金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。


その他の特殊詐欺
上記の類型に該当しない特殊詐欺のことをいいます。


キャッシュカード詐欺盗(窃盗)
警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を名乗り、「キャッシュカードが不正に利用されているので使えないようにする」なとと言って、隙を見てキャッシュカード等をすり替えて盗み取る手口です。

上記警視庁のサイトより引用
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kurashi/tokushu/furikome/furikome.html

5.【認知症の人を守る手段】とは?

認知症患者を守るには
認知症患者を救済するための法制度がある

・成年後見、任意後見制度
財産の管理権を後見人等の第三者に与え、被害を事前に予防する(裁判所決裁)

・詐欺・脅迫
契約の相手から詐欺にあう、脅迫などがあった場合は契約を取り消しすることができる。

・錯誤
契約の重要部分に誤信があった時に契約の取り消しをすることができる。

・消費者契約法上の取り消し・無効
消費者に嘘をついて販売したり、断定的な判断材料しか渡さず販売などを促した場合に契約を取り消すことができる。

・クーリングオフ
訪問販売等の特別に定められた商取引において契約のクーリングオフや中途解約を有効にすることができる。

 

認知症患者を狙った犯罪もあり、認知症の人を守らなければなりません。

本人が認知症の自覚もなく、自然と間違った判断をしてしまうこともあり得ます。

そういった時に認知症患者を救済するために用いられるいくつかの法制度があります。

法的なことなので、家庭裁判所での判断が必要になることが多いです。

後見人等は、契約する前に判断能力の低下を懸念してするものです。

もし契約してしまったあとであれば、消費者センターなどでの対応ができる場合もあるので、よく相談する必要があります。

また契約の時点でギリギリの判断ができていても、急に症状が悪化し、本契約や確認の時には判断できない場合もあります。

そのことを考え、最初の契約の時点で家族で立ち会うなど、対策も認知症患者を守る手段の一つです。

少しでも初期症状かな、と感じた時には病院を調べるなど対応を考えましょう。

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6.意思能力と判断能力の診断書


契約してしまったあとでの診断書を覆すのはなかなか難しいものです。

しかも認知症は進行していく病気なので、今ギリギリの所で意思能力と判断能力があったとしても1ヶ月後に急に悪くなる可能性があります

少しでも初期症状がみられる場合には、なるべく早めの診断書が必要になります。

今は、物忘れ外来など、認知症のための病院も多くあるので、本人は嫌がることが多いですが、早めの受診と診断書の作成をお勧めします。

後見人など家庭裁判所の決裁が必要な場合は、早くても1ヶ月くらいの猶予が必要です。

なるべく早めに対応ができるように、家族で話し合っておく必要があります。

7.まとめ

相続など法律の問題で出てくるのは本人の「意思能力と判断能力」をどう判断するかということです。

認知症など高齢者における「意思能力と判断力」は、医者でない自分たちは判断することができませんが医師の診断書を提出することで、本人の意思や判断に問題があると認定され、家族や後見人など他者の判断に任されることがあります。

客観的に見て、普通に判断できているように見えても、何もわからないまま周囲に合わせて発言している、または反発しているということになっている場合もあるからです。

認知症などの意思能力と判断能力の問題のある高齢者は、よく騙されてしまうことや、親族など周りの圧力に負けて相続での問題を引きずることは少なくありません。

本人を守るためにはどの程度認知症が進行しているのかということ、どこまで意思能力や判断能力が欠けているかなど具体的な診断を求める手続きをすることが大切です。

ほとんどの人は「自分は認知症にならない」と思って生きています。

そこを受け入れて病院に行って診断書を書いてもらうなど、スムーズにいくケースは多くありません。

相続の問題はいずれ発生してくるものなので、トラブルをなくすために早め早めの対応が必要です。

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